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A commentary

An English version comes soon.

覚 え 書 き

 これらの作品は、「ホモサピエンス」をテーマに制作され、21世紀始めの年である2000年に発表された作品です。
 当時、「クローン羊のドリー誕生」や「冷凍状態で発見されたマンモスのゲノムを用いて、マンモスの複製を作る」研究がニュースになっており、ゲノム研究が始まりつつあった時期でした。
 20世紀が原子力爆弾をはじめとする「大量殺戮の時代の幕開け」であったとするなら、21世紀は「ゲノム時代の幕開け」になるのではないか。そのように感じ、このシリーズを制作しました。

 仮に、病気の原因となるゲノムを持つ子供を生まず、理想的ではない身長、体重、頭脳の遺伝子を人為的に選別•排除し、人々の欲望のままに人為的に選別された子孫だけが誕生し、そのような事が何世紀にもわたって繰り返されたら。。。果たしてその人類達は今ここで存在している私たち「人類」と「同じ人類」と言えるのだろうか。「類人猿」と私たち「ホモサピエンス」が区別されているように、ある意味では異種なのではないのか。。。あるいは、多様性が失われた種は、伝染病、環境変化等によりあっけなくその歴史に幕をひくことになるのではないか。その分水嶺になる時代が、21世紀かもしれない。そのような視点から、このシリーズは21世紀最初の年に発表されたました。

 このシリーズは、写真を素材の一つにしたインスタレーションです。「homosapience 51384」などナンバリングされた標本瓶に、各写真が収められ、そのひとつひとつに小さな電球が灯っています。写真は全て1mm四方程度のミクロの世界で、水(人が生きていくために欠かせないものであり、人体の大半を構成しているもの)の中に、塵(水の他に人体を構成している様々な物質であり、人が死んだあとなるであろうもの)を浮かべ、そこに付着した気泡(日常身の回りに存在するもの)を被写体としています。